卒業式
アーカイブ日記 2005年3月4日
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今日は、卒業式がありました。卒業証書を授与され、いよいよ、高校生活ともお別れしなければなりません。友達や先生とお別れする寂しい気持ち、楽しかった思い出、大学生活への期待感で複雑な気持ちです。涙がぽろぽろ出てきてしまいました・・・・・
みさとは生徒会長もやっていたので、卒業式では答辞を述べることになりました。
答辞
今日私たち285人は卒業の日を迎えました。今、私の胸は三年間の高校生活の思い出、そして充実感でいっぱいです。こうして私たちが無事卒業の日を迎えることができたのは、ここまで愛情をもって育ててくれた両親、温かくときには厳しく見守りながら指導してくれた先生、そのほかにも数え切れないほど多くの人の支えがあったからです。
○○○○での高校生活の三年間はあっという間でした。それはこの三年が非常に凝縮された密度の濃い時間だったからだと思います。特に一五年ぶりに復活した体育祭や百周年祭などの行事に最高学年として携われたことは非常に貴重な経験となりました。
私は○○祭実行委員会の実行委員として、パンフレットとポスターを作る仕事をしました。私たちは百周年にふさわしい豪華なパンフレットを作ろうということを目標にしたのですが、そうするとページ数が増え予算をオーバーしてしまいました。そこで、インターネット広告を導入し、パンフレットに広告を掲載して広告料を予算に充てようと考えました。しかしこうした取り組みは開成祭では初めてのことだったので、まず広告を出してくれるお店を探すことから始めなければなりませんでした。私達は商店街を一軒一軒お願いしてまわりました。時には厳しい言葉で断られ出直したこともありました。でも多くの方にご協力いただき、たくさんの広告をパンフレットに載せることができ、目標どおりのパンフレットを作り、インタネットのホームページでも宣伝することができました。
あとになって広告をのせる分のページ数が増えてしまうので印刷費が余計にかかってしまうことに気がつきましたが、大事なのはお金ではありません。私はこのことから物事を一から始めることの難しさを学びました。しかし、何かを新たに始めるということはそれだけ新たな経験ができるということです。経験というものは必ず自分の財産となり自分を成長させてくれます。○○○○の魅力の一つは生徒の意思を尊重してくださる先生方の存在です。このパンフレット作成も私達の発想を柔軟に受け入れ、私達を信頼し、自由にやらせてくださった先生方がいらっしゃったからできたことです。後輩達もぜひ色々な新しいことに挑戦し、生徒主体という伝統を受け継いでいってもらいたいです。
そのほかにも○○○○での思い出は、修学旅行や、大学入試に向かって仲間たちと研鑚した日々などたくさんありますが、その中で私たちの学年には忘れてはならない悲しい出来事もありました。それは高一の夏にクラスメートの坂本君が急性骨髄性白血病でこの世を去ったことです。あの病死から3年が経ちました。しかし、私たちはこれからもずっと心の中に深く刻まれた坂本君の記憶とともに、一緒に人生を未来に向かって歩んでいきたいと思います。それが、なくなった坂本君への友情であり、愛だと思うのです。
最後にマラソンに例えた話をします。これから私たちは、人生という長いロードのスタートに立ったわけですが、はりきりすぎて飛び出しすぎると、バブル崩壊後の日本経済のように失速を招く恐れがあります。しかし、飛び出しが絶好の勝機のチャンスを作ることもまた確かです。人生では、必ずどこかで勝負に出なければならない局面に立たされるのも事実です。私も失敗を臆することなく、勇猛果敢にチャレンジし、前へと飛び出していこうと思います。なぜなら、私はこの○○○高校で養われたどんな窮地にあってもめげない粘り強い精神力を身につけたからです。そして、私は高校生活で得られた、人生での貴重な仲間とともに○○○高校のプライドを大切に、そして少子・高齢化日本の栄えある未来のためにも、ゴールデンエイジとなれるよう頑張っていきたいと思います。
平成17年3月4日
卒業生代表 高校3年A組 美里 紀子
こうして、卒業式が無事に終了し、教室へ戻ってきて、みんなでアルバムの最後のページにメッセージを書き込みました。そして、担任の先生が静かに話をはじめました。先生は、私たちが自分たちで決めたことを、しっかり応援して支えてくれる人でした。その先生が初めて、ちょっと長く私たちにお話をしました。
「皆、いつも自分達で考えて、しっかり自分達の力で行動していた。皆は立派だった。勉強なんかよりも、そういうことこそが、これからの人生の力になる。皆の担任になれてよかった。俺はとっても楽しかったよ」
ちょっと泣きそうになりながら話をしている先生を見て、女子の半分くらいがじわじわ泣き出しました。そして、その後、学級代表の男子と女子が、先生に、大きな花束と皆がメッセージを吹き込んだビデオテープを渡しました。でも、その代表の女子が涙もろい子で、二言三言口にしただけで、あとはもう涙で言葉にならなくて、それを見て先生も泣いて、またまたそれを見て皆がだーだーと泣き出してしまい、クラス中が涙の洪水になってしまいました。
もちろん、みさとも、鼻がヅーンと熱くなって、気づいたらぽろぽろと涙が出ていました。みさとのクラスは、ぱっと見派手そうだけど実は素朴な子ばかりだったので、こういうとき、変にしらけるような子はほとんどいません。女子は皆泣いていました。男子もじわっときてうつむいていました。
このとき、初めて「ああ、みさとは卒業するんだなあ」と思えました。もう、この40人と同じ部屋で同じことを勉強したりすることはない。私達は今まで、ある道を共有していて、そこを一緒に歩いていたけれど、もうこれからは全員が完全に別々の道を歩いていくことになるんですね。それを実感して、なんか切なかったです。みさとの大好きなみさきちゃんも鼻水を垂らしながら泣いていました。